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一刀両断 実践者の視点から【第457回】

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塾が最優先だった教え子

 《〈相模原・夫婦殺害〉「成績はトップ」「超難関国立校にも合格か」物静かなマッシュルームカットの少年A(15)が爆発させた“父への憎悪”と小学校時代の不可思議な“トラブル”》(集英社オンライン)という見出しの記事は分かりやすい課題を提示している。
 殺人事件の大半が家庭内で起きている事実を私たちはどう受け止めればよいのだろうか。その要因は何処にあるのだろうか。
 背景に学歴至上主義が色濃く見える。 
 私も担任の頃、ある児童に話した事がある。彼は両親が教育熱心で私立に行き東大を出て建築家となった。確かにその片鱗はあったが、塾が最優先でクラスの取り組みは二の次にしていた。
 それは親の意図だろうが仲間からは距離を持たれていた。
 その代償はやがて大きくなると感じたので、卒業したら人の役に立てる人間になれよと念を押した。歪に育ち人間として大切な感情が育ちにくくなるからである。
 今回の家庭環境や様子がまさに瓜二つのようにさえ感じられた。
 私の結婚式に来てコメントをしてくれたが、期待した情感の豊かさはあの頃のままの様に感じられ寂しく冷たく儀礼的に思えた。
 殺害された親の後悔の思いがなんとかして同じ様な傾向にある家庭に届いてほしいものである。
 何のためにこの結果に向かって家庭を築いたのか。当然の結果の様に私には感じられる。この青年はどう生きるのだろうか。担任にどの様に関わっていたらこの事件は防げたかを問いたい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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