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一刀両断 実践者の視点から【第462回】

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論説・コラム

行動につながる道徳に

 提唱してきた「動徳」が浸透し始めた事により、既成の道徳を信奉する研究者からクレームが出た。
 道徳が「こうあるべき論」となり形骸化してきている事を学校現場の教師は日頃感じて久しい。その現実を変えようと強制的に実施して報告を教委へと上げるようなことがなければ、やらないで済ませたいという本音を抱く教師もいただろう。だからと言って道徳は重要と感じてはいないわけではない。
 重要だが受験科目にもないし、その成果も顕在化しにくいのは否めない。
 大津のいじめ事件が起きた中学校は、文科省の道徳研究指定校だった。本来、道徳により引き出される人間力は計り知れないものがあるが、授業内で満足して生活に影響を及ぼす行動までは求めてはいなかったのである。
 よって大切とは理解していても現実に結果の出せない道徳へのある意味の「諦め感」が浸透してしまったのではないだろうか。
 道徳の有益性を示し行動し徳を積み波及させるには、「動いて徳を積む」姿を通してこそ納得のいくものになる。
 動いて徳を積み道徳力を存分に発揮させ実証する必要があると痛感している。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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