日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

災害関連死を防ぐ学校体育館の空調整備

12面記事

企画特集

高い暖房力で冬でも安心なGHP(ガス式空調) 停電対応型GHPは停電時も自立運転が可能

“要”となる停電対策を考慮した備えを
自立運転が可能なGHPとLPガス備蓄で、避難所の生活環境を守る

避難所に不可欠な冷暖房空調

 地域住民の防災拠点となる避難所では、夏冬の時期に災害が発生したときに備えて冷暖房空調を整備しておく必要がある。しかし、公立学校の9割が避難所に指定されている中で、被災者が主に生活する場となる体育館の空調設置率は約15%と依然として進んでいない。
 今回避難所になった石川県内の学校施設でも、空調が整備された普通教室を被災者の生活場所に使用しているところが多かった。ただし、それゆえに子どもたちが授業を行う場所が塞がり、学校活動が再開できないというジレンマも生じている。
 学校体育館の空調設置率が低い理由は、面積の広い体育館では設置・ランニング費用が膨大になって財政に負担を強いることもあるが、教室棟と異なり学校活動への影響が少ないことを理由に挙げる声も多い。そのため、常設の空調設備ではなく、熱中症対策用にスポットクーラーだけ導入するケースも見られている。
 しかし、学校施設は子どもたちの学習・生活の場であるとともに、非常時には地域住民の避難所等としての役割を果たさなければならない。であるなら、冷房だけでなく、暖房も考慮した空調整備が必要不可欠となるはずだ。
 事実、昨年4月の参議院決算委員会で質問を受けた岸田総理大臣は、「体育館等の空調整備は重要な課題だと認識している」と答弁。これを受け、文科省も同7月には全国の都道府県教育委員会教育長宛に通知を出し、避難所となる体育館への空調整備を含めて、学校施設の防災機能を一層強化するよう求めているところだ。

自力でライフラインを確保する準備が重要

 一方で、災害発生時は電気やガスが供給停止してしまう恐れがあるため、支援が届き始めるまでの最低3日間は自力でライフラインを確保する備えが重要になっている。加えて、今回の被災地しかり、近年頻発する自然災害では避難生活が長期化する傾向にある。だからこそ、そこで生活している人たちの健康を守り、高齢者等の災害関連死を招かないようにするためにも、なるべくエネルギーを分散化し、必要な対策をとって生活環境を維持していくことが大事になっている。
 なぜなら、これまでに災害関連死として認定された原因では、1位が「避難所生活の肉体的・精神的負担」で、その次に多いのが「電気、ガス、水道等の途絶による肉体的・精神的負担」となっているからだ。自宅や職場が被災し、将来への不安を抱える中での集団生活は、ただでさえストレスを感じてしまうもの。そこに電気を始めとしたインフラも使えなくなり、生活環境が悪化してしまうことは、被災者にとっての大きな重荷となることは容易に想像できる。

災害時の復旧がしやすいガス空調

 こうした中、自治体における防災事業で豊富な実績を持つI・T・O株式会社は、避難所などでは災害に強いガス空調の導入を推奨する。EHP(電気式空調)を停電時に使うためには大型の発電機を備える必要があり、かなりコスト高となるため現実的ではない。GHP(ガス式空調)は小型の発電機でバックアップできるとともに、LPガスを備蓄しておけば燃料の供給に困ることはない。また、都市ガスは地下の配管を通って供給されるため風水害に強いのも特長だ。しかも、GHPはガスエンジンの排熱を利用して暖房するため、立ち上がりが早く、寒冷地などで外気温が低下しても高い暖房能力を備えている。
 さらに、災害対策として普及が進んでいるのが、停電時も自立運転が可能な「停電対応型GHP」だ。本機はバッテリーと発電機を搭載しているため、別置の発電機がなくても空調運転と発電が開始できるのが強み。発電した電力は照明や通信機器、コンセントなどにも供給できる。また、電気料金が高騰する中で、停電対応型GHPの電気代はEHPの10分の1で済み、平時のランニングコストにおいても優位性が増している。
 停電対策の必要性を考慮すると、LPガスを利用している避難所ではLPガス備蓄と停電対応型GHPをセットにした「災害対応型バルクシステム」を整備することが最適といえる。
 また、都市ガスを利用している避難所でも、LPガスの備蓄が災害対策になる。災害によって都市ガスの供給がストップした場合、備蓄したLPガスを都市ガスに変換し、GHPの稼働を可能にする防災減災対応システム「BOGETS」が適している。本システムはタッチパネルの解説や音声ガイドを通じて誰でも操作できる「New PA」(ガス変換器)を備え、非常用ガス発電機や停電対応型GHPと組み合わせれば、空調だけでなく、電気の供給も可能になる。

避難所の継続的運用を視野に

 今回の避難所から見えた課題を受けて、学校体育館の空調整備に本腰を入れる自治体も多くなることが予想されている。そこでは費用対効果だけでなく、停電時の必要性も考慮し、避難所の継続的運用を実現する手段を取り入れて欲しい。

企画特集

連載