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差別する人の研究 変容する部落差別と現代のレイシズム

15面記事

書評

阿久澤 麻理子 著
社会状況による 意識の変化を分析

 差別をされた人、した人を見聞きしたり、自分がしたりと日常で差別を感じない人はいないだろう。教育界では、いじめとして表れる。加害者は優越感を持ち、非道に走る。差別はされる側ではなく、する側の問題と著者は言い切る。その上で部落差別問題を変容するレイシズム(人種主義)の視点からまとめている。
 まずは、「歴史の中の、部落を『異化』するまなざし」の項を読みたい。明治期には、「身分」が「人種」に化けたという。「部落=異人種論を正すことは、後の教育・啓発の重要な課題の一つとなった」と指摘し、人々の意識が変わったことを紹介した。続けて、差別解消に向けた政策が一段落し、生活環境などの違いが見えにくくなった今、民衆がどのような意識を持っているか、著者らの調査結果などから分析していく。
 エピローグでは、部落差別に関する古典的レイシズムを、「貧しい」「こわい」といった言葉で表現し、現代的レイシズムは、ネット上の発言を分析した際のキーワードとして、「利権」「逆差別」などで示した。
 結論の一つは、大学生世代には、「現代的」より「古典的」のレイシズムの影響が強いことだ。そこで、「部落がどこにあるかと検索したり、動画探しをするのではなく、出会い、話を聞く機会を求めてほしい」と訴える。
 教え子が差別する人とならないようにするためにも教師が早い段階で読みたいし、読ませたい意識改革の書である。
(1870円 旬報社)
(大久保俊輝・麗澤大学教職センター長)

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