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道徳授業の個別最適な学びと協働的な学び

15面記事

書評

浅見 哲也・安井 政樹 著
一体的充実への理論と実践例

 2018年度から全面実施となった特別の教科道徳は、「考え、議論する道徳」へと転換を果たした。現学習指導要領の趣旨を先駆けて実施したといえる。本書は、道徳科を改めて解説するとともに、令和の日本型学校教育として、道徳科における個別最適で協働的な学びのあるべき姿を示している。
 第1章では「今求められる道徳教育と令和の日本型学校教育」とし、主体的・対話的で深い学びが成立するために「問題意識をもつ」「自分との関わりで考える」「多面的・多角的に考える」「自己の生き方について考えを深める」ことの重要性を説く。その上で、ICT機器活用を図る良さと配慮すべきことを述べている。第2章「Society5・0時代を生きる子供たちを育てるために」では、子どもたちが生きていく未来をまず私たちが知ることの必要性に触れる。この先の変化が未知ではあるものの、未来を拓く子どもを育てる上で、生き方を考える道徳が果たす役割は大きいはず。共に考え、協働的に学び、新たな価値を創造する力を育むことの重要性に異論はないだろう。
 さらに第3章からは、道徳科における個別最適な学び、協働的な学びについて論じ、その一体的な充実を図った授業の実践例が端末活用の実際とともに示される。最終第6章では、道徳科を要としたカリマネも論じ、理論と共に実践も学べる一冊である。
(2266円 明治図書出版)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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