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世界基準の英語力 全国トップクラスのさいたま市の教育は何が違うのか

12面記事

書評

細田 眞由美 著
高い理想を掲げた実践の記録

 本書は、前さいたま市教育長の著者が、自身の留学などの体験によって「多感な年代で世界を見て体験することの大切さ」を実感し、高校教諭などを経て、さいたま市の英語教育を全国トップクラスにした実践記録である。
 文科省から平成25年に「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」が公表され、さいたま市は、独自の英語教育「グローバル・スタディ」を実施した。小・中学校の英語の授業時間の多さと指導体制の充実が鍵となる。英語は何のために学ぶのか? 世界基準の英語力は「英語を『言葉』として生きて働かせ、人々をつなぎ、地球上に山積している様々な課題解決に向かっていける力」だと著者は考える。すなわちAIではできない人間力として捉えているのだ。家庭での英語への関わり方も解説する。全国トップクラスにするまでの苦心や難題ややりがいが、行政にいた者なら身につまされて理解できる。
 現状の当たり前の英語力では、まだまだ受験英語のニオイは消えていない。使えない、使う必要も感じられない現状を、どのように自分ごととして打破すべきかの指南書ともいえる。家庭人としての側面も持ちながら、このシステムを軌道に乗せた手腕に驚くとともに、こんな教育長にこれまで私は会ったことがない。まさに会ってみたい人物の一人である。そして、この著書は教委のバイブルにすべきではないだろうか。
(1980円 発行 時事通信出版局 発売 時事通信社)
(大久保俊輝・麗澤大学教職センター長)

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