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一刀両断 実践者の視点から【第486回】

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論説・コラム

学校への介助員配置

 《「半分以上を支援学級で」は撤回を 大阪弁護士会が勧告》という見出しの記事からは様々な状況が見えてくる。
 障害の程度は多様であり、かなり専門的な介助が必要な場合がある。勧告は、支援学級に籍を置く児童・生徒は半分以上を支援学級でと目安を示した事に対して合理的配慮とは言えないとの見解を示している。
 当事者や保護者とよく話し合ってどこまでできるかを探りながら丁寧に進めるべきではあるが、それが出来ていなかったと推測される。
 インクルーシブ教育を受ける権利を侵し、不当な差別に当たる恐れがあると弁護士会は主張している。確かに形式的に考え杓子定規にやったとしたら実態には合わないから問題ではある。
 ここで指摘したいのは学校側の事情である。担任も児童数によって配置される現実がある。
 それを補う為に介助員が配置されるが、それは児童の障害の程度によって加配される必要がある。この認識は自治体によってかなり異なる。
 介助員の資質や確保の問題もあり、この配置や育成などは自転車操業でバタバタしている事が多い。こうした体制を整備して教師も保護者もそして本人も安心して過ごし学べる体制が出来ているとは思えない。
 そうなると教師への負担は増加していくが、特別支援の経験や専門性が担保されているとは思えない為に成り手を校内で探して配置する埋め合せのような人的配置をする事になる。
 隣の学校でストレッチャー対応の児童の介助で腰を悪くした介助員がいたので、その後後任が見つからないと相談に来た校長の苦渋な表情が今も思い出される。
 教師の善意に頼らずに、政治家へのキックバックをこうした不備なシステムの整備に充てる事は出来ないのだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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