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一刀両断 実践者の視点から【第490回】

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根強い「部活信仰」

 部活動の活動日数・時間、生徒の希望よりも多いといった結果が笹川スポーツ財団による調査で出たという。合点がいく。適切なレベルや楽しむレベルの練習時間のはずが、気がつくと勝ちたい勝たせたいの気持ちからヒートアップして練習時間が伸び始めるのである。
 部活指導が志望動機の中学校教員は珍しくない。それ程までに部活動は中学校や一部の小学校には浸透している。
 小学校では管弦楽などは指導者のスキルが極めて高く全国優勝となると神様のような扱いになる。同様に部活の魅力に取り憑かれている教師にとっては本来の授業がついでの範囲であり、部活に私生活も全て投げ出しているような熱心さというか異常な価値観が定着してしまっている。
 ある時中学校訪問をして総合の授業を拝見して指導を試みた。授業者は体育の専門だったが総合の授業とは言えない酷いものだった。
 聞くと採用されて3年になるが指導案を今回初めて書いたことや授業もその場しのぎで陸上だけやって結果を出せばいいと校長からも言われていると話していた。
 確かに部活での教員力はあるが、それを全ての学校に求めてはいないのに、結果の出せる指導者を目指す教員は少なくない。よって今回の調査は当然の結果と言える。
 それでも部活信仰は極めて根強い。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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