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地域の拠点となる小学校を中心に「災害用マンホールトイレ」を整備

10面記事

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マンホールトイレの設置訓練の様子。マンホールの上に便座と仮設ユニットを設置する

石川県金沢市
トイレ問題が切実な課題に

 災害時の避難所では、停電や断水、給排水設備の損壊などによって水洗トイレが使えなくなる恐れがある。まさにそうした事態が現実になったのが、年始に起きた能登半島地震だ。断水が長期化した多くの避難所では、日を追うごとに被災者のトイレ問題が切実な課題となった。
 生活に不可欠なトイレ環境が悪化すると、感染症や排せつの我慢を招き、災害関連死の原因にもなる。そのため、災害時のトイレの確保として全国の自治体で整備が進められているのが、「災害用マンホールトイレ」だ。
 こうした中、石川県金沢市では国土交通省の「下水道総合地震対策事業」による補助金の創設に伴い、平成24年度から地域の拠点避難所となる小学校を中心に計画的な整備を進めている。危機管理課の山崎利之課長は「昨年度末時点で16カ所(80基)に導入しており、来年度以降も中学校や公民館も含め、年間2施設ずつ整備していく計画です」と話す。

要配慮者にも使いやすい

 災害用マンホールトイレは、下水道管路にあるマンホールの上に便座と仮設ユニットを設けてトイレ機能を確保するため、通常の水洗トイレに近い感覚で使用できるのが特徴。「仮設トイレは段差があり、しかも大半が和式ということもあって高齢者などは使いにくい面がありますが、マンホールトイレはそうした心配がありません」と指摘する。
 また、貯留管1基で5台設置できるため、男女や要配慮者用に分けて1日・約500人が利用可能だ。さらに、断水時でもプール水などを用いて排せつ物を直接下水道管に流せることで、避難所の衛生環境の悪化を抑制できる長所を持つ。「本市では校舎の建替時などにプールを屋上に設置するなどし、そこから排水管で供給できる仕組みにしているほか、それ以外の学校でもなるべくプールの近くに整備するようにしています」と配慮していることを挙げた。

最初の1~2日を乗り切る

 その中で、今回の震災で金沢市は大規模な断水はなかったが、トイレが故障した小学校の避難所で1基だけ組み立てて使用したという。「普段から自主防災組織で設置訓練をしているため、スムーズに設置できたようです」と安堵する。
 今後に向けても、道路の寸断等により仮設トイレの配送が遅れたことを教訓に、市では簡易トイレの備蓄を増やしている。「被災状況にもよりますが、マンホールトイレと合わせて最初の1~2日を乗り切り、その間に仮設トイレを手配する流れになると考えています。そうした意味でも、いざという際に確実にマンホールトイレが使用できるよう、これまで以上に各地域での設置訓練を重要視していきたい」と強調した。

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