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一刀両断 実践者の視点から【第492回】

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熱中症の判断は難しい

 《遠足で「お茶買いたい」認めず、小1女児熱中症 「過失なし」と全面対決する学校の言い分》(産経新聞社)という見出しの記事から、校長の指導力や判断力の不適切は明らかと感じられた。
 先ずは、客観的な事実としてこうした遠足の場合、水分補給は欠かせず予備を教師が持参する。帰宅後に熱中症との医師の診断があるとすると明らかな対処ミスと言えるだろう。
 ただ、児童の変化を判断できるスキルが教師にあるとする事自体がおかしい。
 熱中症の疑いがある場合はどんな症状が現れた時か明確に言える教師は何人いるだろうか。そのための研修をしている学校があるのだろうか。養護教諭でもこうした判断の不正確な者は多い。
 私は日赤の救助員や災害現場での専門官をしてはいたが特に児童となると判断は難しい。それを素人の教師が的確に出来るとは思えない。
 一番の問題は、1人に買うと他の児童も欲しがるからと答えた校長の指導感覚である。そこを含めて納得させるのが教師の役目なのだから完全にアウトとしか思えない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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