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「子どもが主語」の学校へようこそ!

13面記事

書評

森 万喜子 著
生徒も教職員も安心できる場所に

 現在の潮流として、こども家庭庁の設置、こども基本法やこども大綱成立から「こどもまんなか社会」の実現が強調されている。この流れは学校においても、大阪の大空小学校などの取り組みに表れている。
 その中で学校の「当たり前」を見直す動きも活発化している。著者は北海道の元中学校校長であるが、本書の中で「前例踏襲の破壊」「同調圧力の無視」を掲げ、常に「なぜか、本当か、正しいか」と自問しながら学校経営を進めてきた。
 生徒に対しては、学校を安心して学び、生活できる場所にするため、さまざまな取り組みを行った。校内の居場所づくりや校則の改正、学校行事の見直しなど多岐に及ぶ。特に失敗を容認できるムードとSOSを出せる空気づくりの重要性を強調している。
 教職員に対しても「教職員の心理的安全性の確保」を第一に、教育目標の改定、校内組織や研修プログラムの見直しを行った。従来のトップダウン型リーダーシップではなく、「シェアドリーダーシップ」、つまりビジョンを共有できたらあとは放牧という表現で自身のリーダーシップを語っている。
 著者は言う。「学校は温かい場所であるべき」「学校はもっと温かくて、ゆるくていい」と。どんな生徒にも居場所があり、困っている生徒に手を差し伸べる教員集団がいる、このような学校が求められている。
(2420円 教育開発研究所)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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