全日本特別支援教育研究連盟　編著
Q＆Aで悩み・不安に答える

　校内の様子から「違和感」を覚えたら、そのもとを探り学校改善につなげる。押し寄せる案件への判断は「優先順位」を大切にしつつ、選択の陰に諦めているものもあることを忘れない。個性豊かな教職員らを共に学び合う教職員集団へ。校長には、教員時代とは違う「視座」が必要になる。こんな校長としての覚悟を本書は問うているようにも思える。
　だが、心配はいらない。現職校長などから寄せられた悩みや不安に答える本書は、学び続け、成長することができる校長としての心構え、経営のためのヒントにあふれている。
　タイトルにもある「校長のマインドセット」（第１章）と「校長の思考法」（第２章）の解説は全ページの８割を占める。「校長のマインドセット」には、例えば「校長としての言葉・文章に細心の注意を払う」や「指示から支持へ」「校長としての夢をもつ」など１０項目を挙げ、章の後半はQ＆A方式で「どう『任せて』、どう『伸ばすか』」や「人員不足のなかでの若手育成」などの悩みに答える。合間のコラムは必要な心構えをさらに補強してくれる。
　身に付けたい「校長の思考法」を示した章も同様の構成である。また、グランドデザインの作り方（第３章）や校長がスキルアップすべき１０項目（第４章）も含め、現職の校長、校長を志す教員らには有用だ。
　課題が山積する学校の先頭に立つ校長にとっての一つの道標にもなろう。
（２３１０円　教育開発研究所）
（矢）