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一刀両断 実践者の視点から【第505回】

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特別支援学校での「暴行」

 《特別支援学校で生徒に“暴行”教師を書類送検》(九州朝日放送)という見出しの記事だけ見るととんでもない教師と読み取れるが、それでよいのだろうかと疑問が残る。
 特別支援学校の職員から相談を受けた事を思い出す。廊下を歩いていると突然後ろからはがいじめにされて胸を揉まれたり、抱きついてきてキスされたりして怖いので、どうしたらいいかと言うものだった。
 私が6年生を担任している時、特別支援学級が解散されて3歳児ほどの発達段階にあった児童を受け持った。奇声をあげ、トイレに行くとズボンを上げないで廊下を走り回るのである。
 私は彼を抑えてズボンを無理やり履かせていた。介助員も付けてもらえない中で外から見たら押さえ付けているとんでもない教師と見られた事だろう。
 こう考えると今回のようなニュースは興味本位でなく、その状況や困難さを理解してよく咀嚼してから掲載すべきである。偏った記事で人権が阻害されるケースがあまりに多い。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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