権力の恐ろしさ

　政治家に限らず、権力が欲しいために、権力を保ちたいために、権力を増強させたいためにと人々の争いは今も絶えない。権力の恐ろしさを私も何度か痛感している。
　自らも権力を得た事で勘違いをして役に力があるものを自分にあると考え間違えをしたのである。
　何と諌められても権力や金は人の心情に入り込んで生き方や価値観を狂わせていく魔物である。そうならないように警戒していても紛らわしく侵入して内部から腐らせていく。
　校長選考や登用人事をしていても校長という職が目的の志願者は何処か目が泳いでいる。それは使命感よりも欲望の方が強いからだろう。中には信念と理想を持った者がいる。知識よりも判断力や人間力そして校長の器すなわち品格を持つ者を見極めるのである。
　校長になった後もその気づきや育成は可能だが、権力の必要性と怖さを日々痛感して行動する必要がある。役に力があるのであって、自分に力があるわけではないと自覚し継続できる者は少ない。それ程までに権力は人間を変えてしまうものである。
（おおくぼ・としき　千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事）