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一刀両断 実践者の視点から【第513回】

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とにかく学ばねば

 教員養成を担当する大学教授陣の協議会があった。200近くの関東の大学から参加があった。採用試験の早期化や試験問題の統一などについて情報交換した。実習時期や受入校の調整など様々な課題が上った。
 よく考えれば、教員志願者の減少対策についての協議であった。お金を掛けずに青田買いと試験の統一でランク付けし比較する材料となる。
 文科は学校現場の為にあるはずなのに、養成段階の大学からも呆れられてしまう手段しか出せていない。
 本質は、文科が財務や経産から見たら下位にされているからではないだろうか。人づくりを最優先にしない国はやがて吸収されるか滅びるのは歴史を見ても明らかではないだろうか。
 私の郷里は佐賀である。鍋島藩は貧乏藩な為に人材育成に金を投資した。
 大隈重信をはじめ佐野常民など七賢人としてその育成が藩も国も救っている事実から、その判断をした鍋島直正に学びたい。
 17歳で第10代佐賀藩主についた鍋島直正は、長崎で何度もオランダ船に乗り込み、船内を視察した。直正は鉄製大砲製造に取り組み、佐賀藩はペリー来航の時に唯一鉄製大砲製造に成功していた。
 佐賀藩の存在感は抜群だった。「私の家来はとにかく学ばなければならぬのだ」。直正は幕末佐賀藩や明治政府で活躍する人材を多数生み出した。
 大学教授でもこの心意気でやれる事はあるはずである。研究者だからと言い訳をしている余裕はない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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