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一刀両断 実践者の視点から【第525回】

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 《改革で知られた東京・麹町中学校が方針転換 「規制強化」の声も》(朝日新聞社)という見出しの記事からより戻しが始まったと感じた。
 とかく校長の改革は継承されないで元の鞘に戻す傾向は強い。
 確かに工藤校長の視点や実行力は未来を先取りして魅力を感じる。その反面に抵抗勢力の動きがかなりある中での労力たるや途方もなかったのだと推測される。
 この工藤実践は全国の校長や行政に影響を与えたことに間違いない。このより戻しも想定されていた事だろう。
 私も改革をしてきたので、より戻しの現実を我が事のように感じられる。要は必要性の継続を抑えておかないと、その短期間の効果では戻しは早い。
 高齢者による朝自習における算盤学習は20年継続している。ICTを活用した授業の工夫も20年になる。それ以外は形を変えたり、消滅したりしている。
 校長の手腕は重要だが、効果、継続、発展の視点からすると総合的な学習の時間を仕掛ける要素分析が必要となる。「あの校長だからできた」もよいが、継続発展との融合的な戦略が必要になる。
 教師の願いや力量、児童生徒の実態そしてそれらを支える「人・もの・金・時」である。普及は教育界の命題ではあるが継続や改革そしてブラッシュアップを得意として経営できるかがポイントになる。
 工夫改善ならよいが、単に元に戻すのは停滞や後退としか感じられない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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