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一刀両断 実践者の視点から【第675回】

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論説・コラム

 文部科学省が、不登校への対応として個別指導計画を活用する方針を示しているという。記事によれば、年間授業日数を柔軟に設定できるような制度も検討中とのことだ。だが、個別指導はすでに教育現場で実施されていることであり、今さら感が否めない。
 根本的な問題として、学校に行けなくなっている子どもたちを「学校に行くことが前提」という立場で支援して、本当に改善が図れるのだろうかという疑問がある。学習以前に、子どもたちのモチベーションをどう支えるかという視点があまり見られないのはなぜだろうか。
 この方針では、「学校に行きたくなる」ような明確な手立てが見えてこない。
 体育祭や修学旅行には参加できるのに、授業となると尻込みしてしまう子どもがいる。それは、学習の遅れによる不安があるからだろう。多くの場合、心の面でのサポートが追いついていないのではないか。
 では、その「具体的なサポート」とはどのような方法を指すのか。授業の在り方自体を見直し、活動の中に自然に学びを組み込み、積み重ね型でなくても「学んだ実感」が得られるようにする必要がある。そうした取り組みの成果が入試にも反映される、という具体例が今後示されることを期待したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)

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