特別支援教育のミライ
16面記事
武富 博文 著
課題踏まえ、何が必要か提案
教育公務員特例法の改正を受け、3年前に教員の資質の向上に関する指標が策定された。そこでは「教師に共通的に求められる資質・能力」を五つの柱で再整理している。その中に「特別な配慮や支援を必要とする子供への対応」が挙げられた。その背景もあり特別支援教育はさらに重要視されていく。
本書は、日本の特別支援教育の歴史や制度、障害のある子どもたちを巡る教育政策の経緯や状況を踏まえ、今ある課題に目を向け、今後さらに進展していくために何が必要か、考えていくことは何か―を提案している。
特別支援教育の施策や教育内容を充実していくことは、全ての子どもたちの教育の充実を図ることにつながるはず。本書から多くのことに気付き、学び取っていくことは、今後の教育を考えることになると痛感。
内容は、「特別支援教育政策」「インクルーシブ教育システム」等、八つの章立てに27項目から成る。全ての項目ごとに関連文献とその2次元コードが記載されているのが魅力。法整備の背景や諸資料を即時に調べることで、より理解を深められる。また、各項ごとに「解説」と「オピニオン」が掲載されているが、特に「オピニオン」では解説の補足に加え、現場の実態から何を重視していくべきか、今後大切にしていきたい点は何か―などを論じている。まさに「特別支援教育のミライ」を考え合う上で必携の書だ。
(2200円 明治図書出版)
(藤本鈴香・大谷大学教職アドバイザー)