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16面記事

書評

野口 芳宏 編著
「授業名人」の業績を後世に

 令和6年11月、千葉県君津市の一角で「野口芳宏先生 師道の碑」の除幕式が開催された。記念碑は「授業名人」といわれた編著者の米寿の祝いと、これまでの業績を後世に伝え、日本の教育実践のさらなる向上啓発を目的としたものだという。
 本書は師道の碑建立プロジェクト事業の一環であり、単なる「記念誌」に終わらせず、記念出版として発刊したものだ。
 第一章「自選論文集」、第二章「教師人生を支える 野口語録」、第三章「教師人生を変えた 野口実践」で構成し、付章として建立事業の概要を置く。
 自選論文集の「どのような人と、どう出合ってきたか」「先生は『教える』、子どもは『教わる』」などの文章からは、その人柄、歯に衣着せぬ教育観が立ち上ってくる。
 第二章に21編、第三章に17編の論考を収めた。執筆した40人弱の教育者の存在は、それぞれの問題意識と向き合う中で、野口氏の実践、教育への思いに触発され、実践してきた”継承者”として全国に息づいている証しでもあろう。同時に、野口氏の実践論、教育論の優れた解説として読むこともできる。
 編著者本人と接した際のやりとりの言葉から、気付きを得ている教育者の証言もあり、記念出版の良さを体現する。
 編著者がなぜ「授業名人」と呼ばれたか、その一端に触れることができる。
2200円 さくら社
(矢)

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