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一刀両断 実践者の視点から【第681回】

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論説・コラム

学校でのチラシ配布

 小学校で配布された国際交流イベントの案内チラシに関して、その催しが中止となり、返金トラブルが相次いでいるという。このニュースを見て思い出すことがある。
 チラシが「学校で配られた」というだけで、多くの保護者は安心してしまう傾向がある。さらに、チラシに「教育委員会後援」と書かれていると、「これは信用できる」と思い込んでしまうのではないか。だが、実際にはその信用の根拠が曖昧になっている。
 学校で文書を配布する場合、方法はおおよそ二通りある。教師が一言添えて全員に手渡す方法と、教室の後ろなどに置いて、必要な児童だけが自由に持ち帰る方法だ。だが、そのどちらで配られたかは、家庭にはなかなか伝わらない。そのため、保護者は「学校から配られたものだから安心」と思い込みやすい。
 以前、自然体験合宿の企画に関わっていたときのことである。宿泊施設から「年度末が近いのに経費が支払われていない」との相談を受けた。責任者に確認すると、団体は資金繰りに行き詰まり、自転車操業の状態であることがわかった。
 急いで立て替え払いを行ったが、このように「子どもたちのために」という理想を掲げていても、運営において損益のバランスや会計管理が曖昧になりがちである。
 「人・もの・金」の視点を持ち、現実的かつ慎重に運営することが求められる。気持ちだけでは、物事はうまく回らない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)

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