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本当は大切だけど、誰も教えてくれない子ども対応35のこと

12面記事

書評

大前 暁政 著
「否定しない」など原理原則示す

 「『子ども対応』には、理論と方法があります。ところが、それを学ぶ機会は多くありません」と著者は巻頭で述べている。子どもの対応に関しては多岐にわたるため、画一的な研修では網羅できないからであろう。
 著者はこの多岐にわたる子ども対応を、教師が知っておくべき内容として35に整理し、事例を示しながらその理論と対応する方法を分かりやすく記している。
 第3章13「一番怖いのは、無意識に繰り返される『やってはならない対応』」では、教師自身が気付かないうちに、「このようなことをする人だとは思いませんでした」「簡単な作業もきちんとできないなんて、いけないですね」などのように、子どもの人格や能力、未来の可能性を否定する言葉を使ってしまっている事例が挙げられている。ここでの原理原則は、「叱るときは、人格や能力、未来の可能性を否定してはならない」ことであり、これを踏まえた対応の方法が具体的に示されている。
 そして、この原理原則を理解することで、この事例にとどまらず、その他の対応が発生したときにも応用して適切な対応策を見つけることができる。さらにこれを知ることで、迷いなく子ども対応ができることは本書の効力に他ならない。
 まさに子ども対応に自信を持たせてくれる一冊になるであろう。
(2420円 明治図書出版)
(小山 勉・東京未来大学特任教授)

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