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改訂版 生涯学習時代の生徒指導・キャリア教育

20面記事

書評

西岡 正子・桶谷 守 編
演習課題に沿って丁寧に解説

 近年、学力格差、いじめ、不登校、貧困、発達障害など、多様な課題がある子どもが増えている。また、若者が希望する職業も多様化し、雇用意識も激変しており、各学校での生徒指導やキャリア教育に関しても、時代に合わせてアップデートする必要に迫られている。
 本書には、科学的研究に基づいた理論から執筆者の経験知まで、生徒指導とキャリア教育に関する知見が詰められている。だが、それらが解説書よろしく、ただ並べられているわけではない。特に生徒指導に関する記述では、各テーマに沿って、まず「演習課題」が示され、読者はこの課題に沿って考える。その際「考え方の観点」も示されており、それを参考にさらに考えを深めていく。
 例えば「生徒指導と保護者、家庭との連携」というテーマでは、「『保護者対応』における留意点について考えてみよう」という「演習課題」が示され、「考え方の観点」として、改訂された「生徒指導提要」の内容が示されるとともに、「(1)保護者対応における留意点『さ・し・す・せ・そ』」および「(2)保護者とのこじれた関係改善に向けての留意点」を視点に考えるとよいことが示されている。当然その後に、観点に沿った説明が丁寧に書かれており、まさに生徒指導とキャリア教育の教科書だと言える。
 時代の変化に合わせて常に学び続けるためにも、傍らに置いておきたい一冊である。
(2640円 教育出版)
(小山 勉・東京未来大学特任教授)

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