学校改革としてのイエナ・プラン ペーター・ペーターゼンの自律的教育科学の構想を訪ねて
20面記事
安藤 和久 著
授業指導などの源流問い直す
日本国内でも教育理念、教育方法が注目され、小欄では『今こそ日本の学校に! イエナプラン実践ガイドブック』や名古屋市立小学校の取り組み『イエナプラン教育を取り入れた自由進度学習』などの刊行物を紹介してきた。これらはオランダ発の「イエナプラン」に関わるものだ。
本書は、その発祥となったペーター・ペーターゼンがドイツ・テューリンゲン州のイエナ大学附属学校で構想、実践した「イエナプラン教育学」に焦点を当てる。「ペーターゼンの自律的教育科学の構想」「ペーターゼンによるイエナ・プランの授業指導論」「1924―1950年のイエナ・プランによる学校改革過程」の第一~三章は、「自由で一般的な民衆学校」に向けた学校改革「イエナ・プラン」がなぜ生まれ、何を目指し、どのような方法を模索したか、詳細に記述する労作である。
ペーターゼンは、ナチス時代の振る舞いにより、戦後「公職追放」された。その業績については、当時の政治情勢の見方により、ドイツ国内でも判断が分かれるようだ。
「一回性の教育現実を前にして、源流に拘泥する必要はないが、継承のあり方は常に源流から問い直さなければならない」という立場から著者が当時の資料をたどり示す、附属学校での「授業指導」「教育学研究」「教師教育」の在り方は、現代の教育の課題を考察する際に示唆に富んだものではないだろうか。
(6930円 春風社)
(矢)