社会人の教職参入を検討 「民間団体も教員養成を」中教審で報告
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文科省は17日、中央教育審議会の教員養成部会を開き、多様な専門性などを持つ社会人の教職参入を促す制度の在り方を議論した。教員資格認定試験の方式の変更や、企業に在籍しながら教員として勤務する場合の任用形態を見直すことについて事務局から問題提起があった。また会議では、民間団体も教員養成を担えるようにすべきとの考えが示された。
社会人が教員免許を取るための教員資格認定試験は現在、幼稚園と小学校、高校情報で実施している。昨年度の合格者は幼稚園で3人、小学校で194人、高校情報で40人だった。これに対し、同省は認定試験の対象となる学校種や教科を広げる他、学習プログラムの受講と成績確認によって教員免許を与える方針を提案した。
民間企業で働きながら教員として勤務する人を増やすことについて「ティーチ・フォー・ジャパン」の松田悠介理事が発表した。教職に就く社会人を支援している同団体の取り組みを話した上で、新たに資格認定試験の事務局となる第三者の認定団体を設けたり、大学以外に民間団体も教職課程の認定を受けられるようにしたりする案を提案。教員不足や教員の多様化ニーズが拡大している中、教員養成を大学だけが担うのではなく、民間団体も担えるようにすべきだと訴えた。
その後の意見交換で橋本雅博・住友生命保険会長は、企業と学校との人事交流について言及。「民間企業では若手社員の不足が深刻化している。まずはシニア層から始めて、実例を増やしてから現役世代に広げていくことが確実な方法ではないか」と話した。
文科省ではこの他、教職課程を履修しなかった人が、大学院で修士の学位と教員免許状を取得できる新たな課程の創設も検討している。