一刀両断 実践者の視点から【第697回】
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教員未配置と背水の陣
教員の未配置に関しては、人的措置が講じられず、校内の教職員だけでやり繰りしている学校が増えている。未配置の問題ばかりが注目されがちだが、そうした現場のやり繰りによって教育の質がどう保たれているのか、教員の負担がどう増しているのか、あるいはその対応策については、あまり議論されていない。
この体制を抜本的に見直さない限り、教員の心身への負担はますます増え、教育現場は一層低迷し、混乱が深まることになるだろう。
そうした実情を知りながら、声を上げず、行動もしない人たちの姿勢からは、この問題の本質が見えてくる。
かつて、転入してきた教員が4月に依願退職したことがあった。後任の教員を「校長が探してほしい」と言われたとき、「あの問題教員をよく辞めさせてくれました。助かりました」とまで言われたことを思い出す。
当時は、後任探しの大変さを痛感するとともに、授業の質を保証する自信が持てなかった。残された教員たちが協力してその場をしのいだが、現場の負担は限界に近かった。こうした実情を理解し、早急に手厚い支援を講じるべきではないか。すでに背水の陣に立たされているのだ。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)