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子どもの人生が変わる放課後時間の使い方

17面記事

書評

島根 太郎 著
挑戦し気持ちが動く大切さ訴え

 子どもたちが本当に楽しみ、成長にもつながる、家庭でも学校でもない「サードプレイス」をつくりたいという思いから、民間学童保育の場である「キッズベースキャンプ」を開設・運営しておられる著者による未来志向の教育論。きっと多くの人が共感するだろう。
 子どもたちの小さな「やった!」「できた!」「やりたい!」「どうして?」「分かった!」を大切にする。「危ないからダメ」と禁止するのではなく、大人が見守れる環境をつくり、子どもの気持ちに寄り添いながら挑戦させていく。子どもたちはAIロボットではなく、一緒に喜んだり、笑ったり、叱ってくれたり、一人一人の気持ちを酌み取ろうとしてくれる遊び相手を求めている、など。
 また、子どもたちは大人の何げない行動を観察し、それを「普通のこと」として吸収していくので、子どもの前では少しカッコいい大人でいようといった話は、全ての大人に伝えたいくらいだ。どれもが基本的なことだが、実際にそういう子どもたちの環境をつくれていますか? と問われている気がする。
 少子化社会を変えるには子どもを産み育てることを楽しいと思える空気をつくるのが何より重要との指摘も全く同感。現実の施策が成果に乏しいのは、この本丸に迫れていないからだろう。子どもの成長を真ん中に置く感覚を共有する大人が増えることを願いたい。
(1100円 講談社+α新書)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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