水の事故から命を守る 安全水泳大全
13面記事
藤本 秀樹 編著
学校教育で扱う重要性を指摘
自然水域(海・河川・湖)が多い日本。水難事故に遭遇する危険性は高く、毎年尊い命を失う人の数は減る気配が見られない。水難事故を未然に防ぐためには、水辺に潜む危険を理解して泳ぎの基本を身に付けておく必要がある。本書によると、「安全水泳」とは自らの命を自分で守り、人を助け、危険に対処する方法を総合的に体得して安全・安心な社会をつくることに貢献する取り組みを指す。水難事故防止に直結する水泳の専門家たちが総力を上げ、指導できることを全て収録した。
本書は
(1)安全水泳の基本
(2)安全水泳ケーススタディ
(3)安全水泳を広げる取り組み
(4)安全水泳普及への提案
―の4章構成。これらを通して解説しているのは、自然水域で安全を確保するために必要な知識・態度・判断・泳法をはじめとする災害から命を守ることに役立つ、総合的なサバイバル水泳力だ。技能・態度に加え、例えば「安全水泳ケーススタディ」では、一つの場面として「海浜」を取り上げている。夏になると話題になる気候変動と水難事故の関連に加え、学校教育で取り組む水難事故防止カリキュラムの重要性とその充実などが詳しく説明されている。
水によって発生する自然災害が増えている昨今。だからこそ「安全水泳」に注目したい。学校教育をはじめ、民間などの水泳指導に関わる人たちにとっても、水泳の意義や価値を改めて見直すことができる必携の一冊だ。
(2310円 東洋館出版社)
(斉)

