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授業づくりと授業研究に活かす 学習科学入門

20面記事

書評

河野 麻沙美・河崎 美保 著
「探究」の学習過程・環境など掘り下げ

 本書でいう「学習科学」は、「学ぶ」ということがどのように進み(学習過程)、それがどのように促進されるか(学習環境)を科学的に探究する、比較的新しい研究領域である。背景には「科学的に確かめられていない常識的な仮定に基づいてデザインされた」カリキュラムや教育方法に対する問題意識がある。
 特に、新たな時代に見合った学びを生み出すことを重視し、テクノロジーを利用した学びに注目していることは興味深い。
 大学の授業での活用が意識されており、授業づくりに関わる教職課程科目、教職大学院、教育センター等での活用などが想定される。
 学習科学が目指す授業や学びはどうあるべきかについて「学習者中心」「共同体中心」「知識中心」「評価中心」という四つの視点を示し、「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」「探究」などについて掘り下げる。それらは教育現場での新しい視座につながるだろう。
 これからの学校は知識供給の場ではなく、「新しい知識を協働構築していく経験を与える場であるべき」とし、基礎になる原理や哲学を理解せずに学習活動や手法を表面的に導入することで引き起こされる問題を避けるために「手順化」を否定する。
 教育実践者が学習科学の知見を利用することを支援したいという著者らの思いが、大学のみならず現場にも届くことを願いたい。
(2640円 北大路書房)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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