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教師養成についての考察

12面記事

書評

エドゥアルト・シュプランガー 著 黒澤 英典 訳
資質やあるべき姿を論究

 著者のシュプランガーはドイツの教育学者であり、心理学者、哲学者。個人が志向する価値を理論型や経済型、権力型など六つの類型として示したことでも知られる。
 本書は「二○世紀初頭の教師のもつべき資質と課題について、論究したものである」(訳者あとがき)。時代や教育システムは異なるものの、教師という職業に対しての愛情にあふれ、理想的な教師像を描き出す。
 「われわれが望んでいるのは、訓練された意志、確実な実際的な識見、器用な手、健全な趣味をもった全き人間」であり、「若い精神のなかの限りない価値可能性に愛情をおぼえ」「文化価値のなかにある、生命を与える泉を愛し」「教養を担うもの」だという。
 また、「学問」と「技術」と比較しつつ、作用としての「陶冶」(「成長していく個人の体験・情操・実際的行為のなかに現れてくるあらゆる価値的方向を、価値ゆたかな客観的な形成の規範に従って解放すること」)という考え方を大切にし、「人間陶冶」に重きを置く。
 「陶冶」「陶冶価値」「陶冶性」「学問、技術、陶冶」の章を踏まえ、「総合大学、工業大学、教師養成大学」を比較・分析。「教育大学」「競争―総合大学か教育大学か」の章で、養成カリキュラムや養成の在り方を述べていく。
 訳者の指摘通り「教師教育の根幹にふれるもの」もあり、こうした知見に接することができる時間は貴重ではないか。
(1650円 人言洞)
(矢)

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