日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

子どもたちのクリティカルな思考を育む メディア・リテラシー教育の理論と実践

14面記事

書評

森本 洋介 著
興味を引く題材扱う工夫も

 SNSの普及がもたらす問題の報道からは、ネット社会を安全に過ごしていく難しさを感じる。ネットトラブルから子どもたちを守るための情報教育が重要視されるのは当然だろう。しかし、情報モラルを軸にした保護主義的な方法だけでは不十分。本書ではメディアから伝達される情報について、それが無害か有害かを教えるのではなく、その情報自体についてクリティカルに考える能力を獲得するためのメディア・リテラシー教育の必要性を唱え、いかにして導入していくか理論と実践を解説する。
 第Ⅰ部「現代の教育とメディア・リテラシー」では、クリティカルな理解の獲得を促すことを主目的に据えられた教育がメディア・リテラシー教育と定義し、基本概念や歴史を解説。続く第Ⅱ部「日本の学校教育とメディア・リテラシー」では、学習指導要領との整合性を取りながらどう育成するかを考えさせられる。その中の第8章で紹介される三つの実践例が大変興味深い。中長期的な視点で構成されていることや、子どもたちが興味・関心を持つものを題材として、クリティカル・シンキングを育む工夫が豊かで大変参考になる。
 第Ⅲ部「世界の学校教育とメディア・リテラシー」では、アメリカ、イギリス、南アフリカ共和国やタイなど多くの国の様子を紹介。特に詳細に解説されたカナダ・オンタリオ州の事例からは学ぶことが多く一読の価値は高い。
(3080円 ミネルヴァ書房)
(藤本鈴香・大谷大学教職アドバイザー)

書評

連載