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「教育問題」はつくられる 構築主義的な読み方・解き方

15面記事

書評

北澤 毅 著
統計や報道に踊らされぬために

 評者の教員時代も校内暴力や非行に始まり、いじめ、不登校といった教育問題が次々に現れ、今も形を変えながら続いている。本書は、こうした「終わりのない教育問題」を、構築主義の視点から捉え直し、新たな理解と対応の手掛かりを提示するメディアリテラシーの書である。
 序章では、「子ども期をプロセスとして捉える子ども観こそが、教育問題を永続化させる原動力ではないか」という仮説が示される。続く第1章では、構築主義の基本的な考え方が丁寧に解説される。第2章と第3章では、少年犯罪や非行を巡る公式統計やメディア報道を分析し、問題がどのように「つくられていく」のかを具体的に検証する。第4章では、問題行動の原因や動機、責任の帰属について議論を整理し、第5章では発達障害児の増加というテーマを取り上げ、とりわけ「発達障害8・8%」という数字の読み解き方を詳細に論じている。
 本書を通じ著者は、「実態論的説明」と「構築主義的説明」の違いを説き、「量的増加」や「質的変化」が「自明の前提」となり、社会全体が同じ方向へ走り出すことで異論が封じられてしまう危うさを指摘する。さらに「早期発見・早期対応」が抱える問題点にも踏み込む。本書は社会のあらゆる問題を読み解くためのメディアリテラシーとしても有効な一冊である。
(2640円 発行 時事通信出版局 発売 時事通信社)
(中村 豊・前公益社団法人日本教育会事務局長)

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