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日本教育会 新時代【第22回】

4面記事

関連団体・組織

支部だより 北から南から
新潟県支部
小・中、高、特別支援学校の管理職で構成
教育課題発表で校種超えた意見交換

【はじめに】
 日本教育会新潟県支部は昭和55年12月13日に結成されました。結成の趣旨には、「一九八○年代の流動する社会の中にあって、明日を切り開く、人間性豊かで、心身たくましい青少年育成のために、小・中・高の各学校が一体となって努力し、もって県民の負託に応えようとする」旨が述べられています。
 結成時は、小・中・高等学校長が主たる加入者でしたが、各校種の教頭も加入するようになり、平成25年度からは特別支援学校の校長・教頭も加入し、現在に至っています。
 平成28年度には、全国教育大会を新潟市で開催しました。

【支部組織】
 支部長は、小・中学校長会及び高等学校長協会の3校種が2年任期で担当しています。それに伴って、事務局も同様に持ち回りで担当しています。理事は各校種及び職種から3名(特別支援学校は各1名)を出し、17名で理事会を構成しています。また、議決機関でもある評議員会は各校種、職種から計79名で構成されています。
 理事会は年2回、評議員会、総会・研修会は年1回行っています。

【活動の様子】
 毎年7月第1土曜日に、午前中に理事会・評議員会を、午後に総会・研修会を行っています。全県を3ブロックに分け、開催地をローテーションしています。今年度は中越地区の長岡市で開催しました。研修の内容としては、小・中・高等学校長が行う「教育課題発表」と外部講師による「講演会」の二本立てとなっています。
 「教育課題発表」は各学校が展開している教育活動を発表し合うことで、校種を超えた意見交換が可能となることが特徴です。
 「講演会」は、教育関係者に限らず、幅広い分野から講師をお願いしています。今年度は地元新聞社である「新潟日報社」の社長から講演をしていただきました。ご自身の記者時代のこと、経営者としての信念など興味深い内容でした。

【今後の課題】
 会員数の減少は当支部においても悩みの種です。特に、予算が年々縮小傾向にあります。そのため、役員数を削減したり活動規模を縮小したりして運営する必要に迫られています。
 また、全国教育大会や学校心理カウンセラー研修講座への参加についても派遣者数の見直しを進める必要があります。
 そこで、当支部では規約を現状の実態に即した活動ができるような内容に改正し、次年度から取り組むこととしました。今後、小・中・高の3校種が一堂に会して協議できる場としての新潟県支部の一層の発展を期すべく、活動内容の精選、充実を目指します。
(今範男 事務局長)

私の提案
新時代のキーワードは「横断」
さまざまな壁を越え組織改革を
濱中 力也 新潟県支部支部長

 組織改革の手法の一つに、クロスファンクショナルチーム(CFT)がある。組織の課題解決に向けて、部署や役職にとらわれず、さまざまな知識・経験のある人材を集め、解決策を提案させるものである。導入した企業では、部門横断的な協働や専門知識の共有が促され、互いに責任を擦り付け合う縦割り意識が改善されたという。
 ところで、中教審委員の妹尾昌俊氏はカリキュラム・マネジメントについて次のように述べている。「学校の中には、教科の壁、学年の壁、学級の壁、職の壁、個人の壁など見えない壁が立ちはだかっている。カリキュラム・マネジメントとは、こうした壁を越えていくためのものであり、教科をつなぎ、前向きな職員とそうでない職員をつなぐことである」と。
 本県中学校は5年前から、教科書の知識を効率的に生徒の頭にコピーするような授業からの脱却を「授業改革」を合言葉に取り組んでいる。そこではファシリテーションを手立てとして、教師の学び合いを促し、教科や学年を横断して協議が深められている。教師は、それぞれの教科の見方考え方を生かしつつ、目指す生徒の姿について活発に意見交換を進めて行く。地域や保護者との熟議の場面でも同様の手法が用いられ協議が活性化している。
 新時代のキーワードの一つは「横断」である。教科、職種、校種、社会との横断的な取り組みがこれまで以上に求められていると感じる。
 また、教科の専門性を高めるには、担当教科が前後の学校種でどのように扱われているかを知ることも重要である。
 日本教育会には、校種の横断という強みがある。当支部でも、小・中・高の優秀な実践発表と協議が行われている。しかし、もう一つ踏み込んで、冒頭のCFTのような組織が必要だとも感じる。校内外の横断の道筋は見えつつある。校種の緊密な横断が、今後の重要課題と感じている。

日本教育会 新時代