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人づくり国づくり【第786回】

16面記事

論説・コラム

金田 雅代 栄養教諭食育研究会代表幹事
栄養教諭への理解と配置促進を

 栄養教諭制度は、平成16年に創設され、平成17年から配置がスタートしました。
 学習指導要領の中に学校教育活動全体を通して食育を推進することは明記されていますが、教科のように時間が確保されておらず、栄養教諭には日々の給食の時間を中心に、提供する給食を「生きた教材」として活用した食育を効果的に実践することが求められています。
 栄養管理された給食を子どもたちが食べて、健康に発育していくためだけではなく、その給食を通して大人になった時の健康を担保できるような食習慣を義務教育の中で培うという壮大な目標達成に向けて、栄養教諭は取り組まなければなりません。
 栄養教諭は学校の中で、教育に関する資質と栄養に関する専門性を併せ持つ食育の中核的な役割を担う専門職です。献立は、学校給食摂取基準に基づき、全ての学年、児童・生徒を視野に入れて、各学年、体格に合った栄養が提供できるよう、盛り付け量を加減しています。
 給食から学ぶことは、同じ献立でも、教科と同じように学年によって異なるべきであり、学年に合った学びにつながる必要があります。
 学習指導要領には、各学年で学ぶことが決まっており、全国の子どもたちが標準化された教育を受けられます。食育では、日々の給食から学ぶことを栄養教諭が整理し、担任の先生方と協力して、子どもたちの学びにつなげることができます。
 栄養教諭には、給食を教材として、義務教育の9年間の発達に合った学びとなる食育の完成像を基に、各学年において給食を通して子どもたちに何を教えていくのかについて計画・実践・評価・改善する授業実践力が求められます。
 さて、栄養教諭食育研究会は、神奈川工科大学の饗場直美教授と共同研究をした時に、協力してくれた栄養教諭たちと立ち上げた団体です。
 研究会では、食育教材としての給食作成能力だけではなく、科学的根拠に基づく教育を実践するための力を身に付けるために活動しています。これまでの業務の中から得られたさまざまなデータを可視化し、そこからエビデンスを見つけ出し、学校における食育の科学的根拠を確立しようとしています。その根拠に基づいて、科学的な食育を学校で実践できるよう、活動をしていきたいと考えています。
 令和2年5月時点で栄養教諭の配置は6652人ですが、都道府県ごとの配置にかなりのばらつきがあります。全ての学校で食育を推進するために、配置の促進を願っています。

 かねだ・まさよ 30年間管理栄養士として学校給食に携わり、その後、文科省学校給食調査官を10年間務める。平成13年、女子栄養大学短期大学部教授、同27年同大学名誉教授。同28年から現職。

*3月13日(土)に行われますセミナーにて、金田氏に基調講演頂きます。学校給食に関わる方はぜひご参加ください!
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