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ライフコーチの視点から 現代を生きる子ども・若者のリアル【第1回】

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論説・コラム

大人の矛盾を受け取った高校生の声

 ライフコーチとして、個人へのコーチングを行うと共に、中学校・高校を訪ねて生徒に対し、自分の人生について考えるきっかけとなるよう講演に臨む、みつはしあきこさん。子どものころ、父親から虐待を受けた経験がある。過去に行った高校生向けの講演会の模様と、その後、みつはしさんに届いた生徒からの感想に関してエッセイをつづってもらった。高校生の素直な思いが読み取れる内容となっている。

 「自分の人生を生きてる?」冒頭の問いかけに、「え?そんなの当たり前でしょ?なんでそんなことを聞くの?誰だって自分の人生を生きてるはずでしょ」とでも言いたげな顔が見えた気がしたが、そのままこう続けた。
 「普段、誰を主語にして生きてる?誰を主語にしてものごとを選択してる?親がこう言ったから、友達がこっちがいいって言ったから…。誰かを主語にして生きていない?」

 高校生への講演会、テーマは「自分の人生を生きてる?」
 講演後に、生徒からこんな感想が届いた。

 「誰を主語にして生きているか、という最初の問いかけに驚きました。
 周りの大人たちは、自分の人生だから、自分の好きなように自分で選びなさい、と言う割に「あれしなさい」「これしなさい」「これはやめなさい」と言ってくるし。
 高2が大人とも子どもとも言えない立場だからなのか「まだ大人じゃないんだから」や「もう大人なんだから」という矛盾したことを、その場その場に応じて言ってきます。
 だから色々な場面で、自分より周りの大人たちを主語にして、判断して生きてきたなと気付かされました。
 でも、大人だからって間違えないわけじゃないし、教師だからって正しいわけじゃないから全部に「先生がこう言ったから」と従うのではなくて、思ったことは言ってみるのもいいのかなと思えました。」

 大人の矛盾。きっと言っている大人も、その矛盾を感じているのだと思う。
 それが大切なわが子、生徒のためだと思って。
 ただ、一度立ち止まってみる必要があるのかもしれない。
 それが本当に、子どものためになっているのか?

 この生徒さんは、大人を責めているわけじゃない。自分がそう判断してきた、誰かを主語にして決めたのは自分なのだと気づいたと言う。まさしく、講演を通して伝えたいことはここだ。大切なのはここなのだ。自分の人生のハンドルを握っているのは自分なのだと認識すること。そして、どんな道を進むのかは、自分で決められるということ。

 大人だって間違える。先生だからって正しいわけじゃない。何を選んでも正解にするのは自分自身だから。

中高生の心を開く専門家/ライフコーチみつはしあきこ
 幼少期に父親から虐待を受け、学校では、いじめの標的になった経験を持つ。成人後も、自分の思うような生き方ができなかったが、東日本大震災をきっかけにコーチングを学び、独立。3兄弟の母。ホームページ(https://mitsuhashiakiko.com/)に情報多数。

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