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校長塾 経営力を高める最重要ポイント【第542回】

4面記事

管理職・学校経営

堀越 勉 千代田区立麹町中学校校長
組織が機能しない状態を「整える」
トップダウン見直し、分掌など再構築

 本校への着任早々、他校と絡み学年をまたいだ事件が発生した。
 私は対応策を策定し、教職員に「生徒指導部会で継続的に情報共有し、学年を超えた指導の連携をしてください」と指示を出した。生徒指導提要に基づいて、校長として当たり前のことを伝えたつもりだったが、「生徒指導に関わる定例部会がありません」と返ってきた。
 学校現場の問題には、その理由が必ずある。外から見える問題と見えない問題が絡みついており、その根元が組織構造にある場合には、改善に1年間を要する。これは校長の仕事だ。
 本校の問題点は三つあった。

 (1)定例の分掌部会がない
 学校の諸課題に対応できる定例部会がなければ、事件等に対する継続的な情報共有も対応策の検証もできない。分掌からの起案という流れも脆弱。代わりに、突然、個人起案を校長室に持ち込む状態が続いた。

 (2)企画運営委員会に学年主任が入っていない
 生徒の問題行動が、学校の仕組みに起因するなら、企画運営委員会で直ちに対策を講じるのが当然だ。生徒個人に起因するなら、再発防止策を学年を超えて共有するのが、企画運営委員会の役割だ。しかし、本校の委員会には学年主任がおらず、学年を超えた連携ができなかった。

 (3)経営支援部が機能していない
 組織名はあるものの、実情は、校長のトップダウンの指示や命令を一手に引き受ける場になっていた。本来は教育課程など、学校教育の柱を担当する重要な組織のはずだ。それが、誰も担い手がいない取り組みを、属人的にこなすだけになっていた。

 「麹町中の改革」が大々的に報じられる一方で、学校外からは分かりにくいが、組織構造は致命的な域に達していた。問題の根源は、組織論を伴っていない経営にある。ボトムアップが定着せず、トップダウンに偏重した構造を抱えてきたのだ。
 組織構造を変えるには、順を追ってのステップが必要だ。昨年度の1学期から徐々に積み上げ、令和6年度に向けた移行措置を明示し、校内人事も構想した。
 2学期当初、職員会議で組織構造改革について解説した。「学年主任を企画運営委員会に入れる理由は?」との質問が出た。初歩的なことから解説を始めなければならない目の前の現実に長い道のりを感じた。
 令和6年度、経営支援部をいったん廃止した。ボトムアップ機能を強化した新たな組織構造での船出は、今のところ順調だ。

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