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令和7年通常国会質疑から【第2回】

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行財政

困窮家庭への大学受験支援

 国会では、法案審議の他に、議員の提示した課題に対して政府が見解を明らかにする質疑が行われている。今年1月に開会した通常国会のうち、教育関係の一般質疑の模様を紹介していく。3月12日の衆議院文部科学委員会では、困窮家庭への大学受験支援をめぐる質疑があった。

 辻英之議員(立憲) 私、長野県の小さな山村にいまして、高校生たちとも、当然私の子供の周りにもいましたし、隣町の高校の評議員もやってきまして、たくさん声を聞きました。また、実は、青森の地方大学で教員も最後に三年間やっておりましたので、貧しい高校生たちにもよくお会いをしてきました。そして、今、福井県の過疎地でも声を聞いています。
 経済的な理由で大学進学を諦める、こういう高校生に大変出会ってきました。お金のことで学びを断念することだけはさせてはいけない、こんな思いで政治家を目指しております。だから、大学の無償化などを進める、その方向性は否定をしませんし、大変評価しています。
 しかし、実際は、それ以前の問題もあるんですね。貧困家庭の子供向けに学習支援などを行っているNPO法人キッズドアさんが貧困家庭を対象に実施したアンケート調査によれば、保護者のほとんど、これは左上の青い円グラフですが、九八%が家庭の経済状況が子供の大学受験や進路選択に影響すると回答しているんですね。
 細々まだありますが、このデータは決して地方や過疎地のデータではなく、全国調査です。これが地方、過疎地になれば数字がどうなるかは容易に推察できると思います。
 大学授業料無償化については、これから本格的に議論されます。しかし、その前に、受験料の捻出に困る家庭、高校生への支援も考えられないかと強く思っています。
 大学共通テストは、二教科以下で一万二千円、三教科以上だと一万八千円。その後、私立大学を受けるとなると、一校につき三、四万円、地方から都市部への受験なら交通費、宿泊費などもかかります。入学金や教材、パソコンなども入学前に費用がかかります。とても支払える額じゃなくて、先ほどのデータでもあるように、受験そのものを諦める高校生もいると聞いています。
 そこで、伺います。大学共通テストの無償化等は考えられないか。できないなら、困窮家庭向けに受験のための公的支援を充実させることはできないか。大臣に伺います。

 文科相 経済的な事情によって学びを諦めないために、文部科学省としてもしっかり支援をしていかなければいけないと思っています。
 大学等の受験費用におきましては、日本政策金融公庫の教育一般貸付けというのがございまして、合格前でも支援が受けられるよう令和三年から制度改正を図られたところでございまして、加えまして、日本学生支援機構におきましては、寄附金が原資でございますが、児童養護施設等に在籍する高校三年生を対象にいたしまして、大学の受験に要する費用の支援を実施しているところでございます。
 また、こども家庭庁におきましても、児童扶養手当の受給家庭また世帯や、また住民税の非課税世帯の子供が大学等を受験する際の受験料を支援する事業を実施しているものと承知しております。
 文科省としても、こうした事業の実施状況を踏まえながら、望ましい進学支援の在り方について引き続きしっかりと検討してまいります。

令和7年 通常国会質疑から