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ライフコーチの視点から 現代を生きる子ども・若者のリアル【第25回】

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論説・コラム

僕は、言い訳で逃げたことがたくさんあります

 3月の卒業間近、静岡県磐田市の公立小学校6年生に「自分も人も大切にする生き方」というテーマで対話型の講演会を行った。その際の、生徒さんたちの声をお届けしたい。

 ―わざわざ東京から来てくれてありがとうございました。僕は、言い訳で逃げたことが沢山あります。言い訳がどれだけ人生を変えるかがわかりました。制限をつけることで、できないと判断して、そこから出られなくなるのはいやなので、「自分で制限をつけない」ことが大切だと思いました。ありがとうございました。

 ―自分を振り返って、人目を気にしてやりたいことができなかったり、自分の時間を無駄にしてしまったりすることがあったけれど、確かに周りの人は関わるには関わるけれど、人生の100%関わるわけではなくて、人生の100%ずっと一緒にいてついてくる自分をまず大切にしようと思った。自分のことを嫌いになるのではなく、心のなかで自分を褒められるようになりたい。
 あきこ先生がおっしゃったように、自分を好きになるのって本当に難しいけど、その分大事なことだと思いました。こんな問題を間違えてしまう自分、なんてだめなんだ!あの時、ああしとけばよかった…、と後悔してしまう自分を、ミスしたから覚えられた!じゃあ次からはこうしようと思えるようになりたい。また、ライフコーチという仕事についても知ることができました。本当にありがとうございました。

 ―色んな人に嫌われないようにして生活していると自分のことが嫌いになるから、嫌われないようにするのではなく、自分を好きになれる行動を選んだほうがいい、という言葉が心に残っています。また、将来の夢が明確に決まっていなくても焦らず落ち着いて決めようと思いました。これまで周りに嫌われないように気をつけながら、喋っていたり行動していたけど、この話を聞き、周りを気にするのではなく自分のことを気にしようと思えました。

 ―自分に素直になり、自分がやりたいことがあれば、人に迷惑をかけない程度でやりたいと思った。相手の機嫌をとって相手を満たすのではなく、自分が満ちて、相手に元気を渡すという考えかたが面白いと思った。どん底に一度落ちてしまえば、それ以上は落ちずにあとは上がるだけ!という発想も話してもらった「捉え方」に関することだと思う。
 過去は変えられないけれど、未来と捉え方を変えれば、実質過去を変えることになるのではないかとも考えることができた。そしていつ終わるかもわからない生命活動の貴重な1分1秒を大切に、人の機嫌取りなんて無駄なことに使わないで、自分に正直に生きたいと思えた。

 逃げることが悪いわけじゃない。そうやって守ってきたことが、きっとたくさんあるはず。
 だけど、代わりに失っているものもある。そこに気づき、自分の本当の願いはどこにあるのか?言い訳して逃げて、自分の人生に制限をかけて…、「そんなのは嫌だ!」自分がそう思うなら変えたらいい。自分で決めて変えたらいい。
 それが自分の自信になるし、自分の人生をつくっていくことになる。

 小学校6年生でも、これだけ真剣に自分のことを考えて向き合っている。人の話を聞いて想いを受けとり、自分で気づきを生み出す力ももっている。子どもの力はすごいと改めて感じる時間だった。

 では、大人はどうだろうか?言い訳して逃げていることはないだろうか?
 とても考えさせられる一言だった。

中高生の心を開く専門家/ライフコーチ三橋亜希子
各地の小・中学校、高校、幼稚園などで児童・生徒向け、教職員向けの講演を続ける。幼少期に父親から虐待を受け、学校では、いじめの標的になった経験を持つ。成人後も、自分の思うような生き方ができなかったが、東日本大震災をきっかけにコーチングを学び、独立。3兄弟の母。ホームページ(https://mitsuhashiakiko.com/)に情報多数。

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