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メタ認知で<学ぶ力>を高める

17面記事

書評

認知心理学が解き明かす効果的学習法
三宮 真智子 著
睡眠の効用など多様な知見

 情報が飛躍的に増え、知識の更新が加速する現在、私たちは、たぶん一生学び続ける必要があるでしょう―と始まるこの本は、学ぶこと、教えることに関心のある人々に向けたものと著者は書いている。
 本書は「認知とは何か、メタの意味とは」で始まる、第1部「メタ認知を理解するための20のトピック」、それを受けて第2部「メタ認知的知識を学習と教育に活かす」―Section1意識・注意・知覚編(11)、2知識獲得・理解編(18)、3思考・判断・問題解決編(16)、4意欲・感情編(16)、5他者との協働・コミュニケーション編(10)、6行動・環境・時間管理編(8)―と計99のトピック・知見にして、それぞれ一話題見開き1ページに収めている。読みやすさ、この親切さに、書評子は著者の実践家としての奥深さを感じた。
 その一つ一つのトピック・知見に「なるほどそうだったなあ」「ああ、こういうことだったのか」と己の体感を重ねながら、いつの間にか自分のメタ認知とでもいうものへと入っていくようにも感じられていた。例を挙げれば「睡眠をとることが頭の働きをよくする」「睡眠中にも学習は進む」「意識せずに学習できることがある」「カフェインの覚醒効果を濫用することは危険」などがそれである。こうした知見が散りばめられている。多くの人に読まれ、活用されてしかるべき本である。
(1944円 北大路書房)
(関根 正明・元山形大学講師)

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