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茨城県教育研修センターから 教育相談だより 4 授業づくりと心理学

関東版

教育センター

 茨城県では、県教育委員会と教員養成系の三大学が連携し、教員養成に関わる各種共同事業を進め、茨城県の教員養成機能を強化しています。この三大学教員養成連携協議会主催の研修会がありました。「学びの転換と授業づくり」と題し、三大学をネットワークで結んでの講演や,現職教員等によるパネルディスカッションが実施されました。そのうち講演会では、放送関係者から、番組制作と授業づくりについての講演がありました。一見すると全く関係のない業種のようですが、実は授業づくりに役立つ視点が多くありました。これらを心理学的視点で紐解いてみたいと思います。

(1) 内発的動機づけ
 ニュース番組では、冒頭の30秒程度で視聴者の関心を引きつけなければチャンネルを変えられてしまうそうです。これは授業づくりも同様で、授業の導入段階で、児童生徒の興味・関心を引きつける仕掛けが必要になります。児童生徒の「面白そう」「やってみたい」という好奇心をいかにかき立てるかが大切です。
 また、「ゲストをうまく使って、番組を回す」との話もありました。授業では、ゲストティーチャーや、ICT機器を活用した学外の教育力の活用ということでしょう。番組づくりも授業づくりも対象者(視聴者や児童生徒)の興味・関心を引き出すことが鍵となります。
 心理学には、“内発的動機付け”“外発的動機付け”という考え方があります。内発的動機付けとは、報酬のためや怒られないためではなく、純粋にその活動がしたいからするという動機付けのことです。一方、外発的動機付けとは、活動自体が楽しいのではなく、何かのために活動する動機付けのことです。一般的に、学習などの高次の活動には、外発的動機付けより内発的動機付けの方が効果的であると言われています。

(2) ラポールの構築
 ニュース番組では、時にはキャスターが「ひどいなぁ」「勘弁してほしいなぁ」などと、視聴者の代弁者としてコメントすることがあります。これにより視聴者に寄り添っている、共感を得るようにしているとのことでした。この視点も授業や学級経営では大切になります。常に上から目線で指導していると、児童生徒とのよい関係は築けません。相手の立場に立って考えることが大切になります。
 心理学的に言えば、「ラポールの構築」です。ラポールとは,お互いの心が通じ合い、互いに信頼し合い、承認し合い、感情の交流をスムーズに行える関係が成立している状態のことです。これをうまく活用した事例が、DJポリスと言われています。

(3) リボイシング
 テレビ番組で、一般人のインタビューでより多くの情報を聞き出すテクニックとして、「オウム返し」を使うそうです。相手の言葉を単純に繰り返すだけですが、これが効果的だそうです。
 心理学では、オウム返しはよく知られた手法の一つです。リボイシングとも言われ、自分の発言がクラス全体に共有されることによって、児童生徒の参加意欲が高まったり、発言の共有化がクラス全体の心理的なつながりを深めたりすることにも役立つと言われています。

 授業づくりや学級経営に役立つ情報は、教育学だけでなく、心理学や社会学など、様々なところにあるようです。

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