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戦後日本と道徳教育 教科化・教育勅語・愛国心

20面記事

書評

貝塚 茂樹 著
歴史踏まえ「教科化」の意義と課題論ず

 本書は、約350ページの大著。戦後日本の道徳教育について、時の流れに沿いつつ論じる。副題は、“教科化・教育勅語・愛国心”で、この三つを窓に“道徳教育の戦後”を論じる。戦後における道徳教育を、深く考えさせる貴重な大冊である。その内容は、三部九章構成となっている。
 第I部が、「道徳の教科化をどう考えるか」で

 (1) 戦後日本と道徳教育の展開
 (2) 「特別の教科道徳」の成立過程(1)(2)
 (3) 道徳教育の本質を「考え、議論し続ける」
 (4) 「特別の教科道徳」設置の意義と課題

 ―で各章が構成されている。「道徳の時間」や「心のノート」のことなど、当然ながら登場する。

 そして、第II部が「教育勅語をどう考えるか」である。

 (1) 近現代教育史のなかの教育勅語
 (2) 教育勅語問題における「国会決議」の意義

 ―が章立てされる。著者は、歴史研究の必要性(151ページ)を書くが、修身教科書、修身教授論などについて、実践の場でも研究することが必要とされているのではないか。

 さて、第III部が「愛国心をどう考えるか」となる。

 (1) 戦後日本と愛国心
 (2) 戦後の道徳教育と国際理解教育

 ―を内容とする。著者(武蔵野大学教授)は、日本教育史、道徳教育論を主として研究する人。道徳教育についての、活発な発言で注目されている。
(4180円 ミネルヴァ書房)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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