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教えられること 教えられないこと

20面記事

書評

明石 要一 著
キーワードの対比で語る教育論

 読者諸氏に伺います。「発問と質問」「能力と才能」「討議と討論」「技術と技能」「当番活動と係り活動」(まだまだあるが、取りあえずこの辺で)。これらの言葉の意義の違いを説明できますか。できる方は本書を求める必要はありません。
 失礼な書き出しをしてしまったが、著者は前書きで「教えられること」と「教えられないこと」をはっきりと自覚しながら教育活動に取り組むことが求められる時代であることを訴えておられる。そう考えれば冒頭の言をご理解いただけよう。
 本書は、書名に関わるキーワード約50項目を対比的に取り上げ解説する。例えば、最初に挙げた「発問と質問」については具体例を挙げながら「発問は問いを発する人が答えを知っているが、質問はそれを発する人が答えを知らない」と説明し、質問の力を育てることが、これからの課題になると示唆する。他のキーワードについても章立てて分類し、事例を示しながら解説する。それまで、曖昧に受け止めてきた自分に気付くのは、おそらく評者だけではないだろう。
 新教育課程も始まった。混沌とした現代にあって、学校は、教師は何を指導していったらいいのか悩みは尽きない。そんな私たちに本書の分かりやすい解説は大きな力になろう。納得の一冊に出合えた思いがする。
(1760円 さくら社)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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