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一刀両断 実践者の視点から【第13回】

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教師による犯罪を防ぐには

 《31歳小学校教師が「子どもを盗撮数百回」のヤバすぎる手口》(FRIDAYデジタル)と報道された。勿論、怒り心頭だ。しかし、その矛先は何処へ向けたらよいのだろうか。見方を変えれば、この人物も被害者なのかもしれない。
 こうした事件は、教師が犯すと大きく報道される。この人物は明らかに病的であり、その性癖は常軌を逸している。なぜこれが分からなかったのか不思議でならない。私は加害者の写真を見ただけでも違和感を持つ。その違和感を誰も持たなかったか。
 一番は目である。また、教委は、教師を評価する際、目標申告などを取り入れて本当に成果が上がっていると思っているのだろうか。目標の成果をどこで判断するのかなど、私はかなりプライベートな所まで突っ込んで話を聴いたが、ほとんどの場合、個人情報やパワハラなどが障害になり、進んでいかない。事務的で形骸化しているのではないだろうか。
 教育は人と人が織り成すものであり、感性を磨き合う非認知能力が根幹にあるべきと思っている。この人物の場合、様々な方との面談においても、危険性に気づかれなかった事になる。そうであるならば、同様の犯罪の予備軍が、かなり多く存在しているのであろう。
 人を見定めるのは人である。資格や肩書きではなく、経験則の方がまだ役に立つ。それでも人は誉められると油断をしてしまう。この31歳の教師は今後どのように生きていくのだろうか。教師は二度とさせられないが、社会の為に、仕事はしてもらいたい。それを認める社会であって欲しい。罪の代償はあまりに大きく親族や関係者の心労も長くなるだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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