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高度化・省エネを柱に、防災は事項要求に 文科省2022年度概算要求から

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施設特集

 新しい時代の学びを支える安全・安心な教育環境の実現が求められる中、文科省は22年度(令和4年度)の概算要求を発表した。ここでは、学校施設関連の要求を取り上げる。

教育環境向上と老朽化対策の一体的整備を
 来年度の概算要求では「小学校高学年の教科担任制や35人学級の推進」が目玉となっている一方、公立学校施設の整備では2352億円(前年度688億円)を要求。教育環境向上と老朽化対策の一体的整備として、新しい学びに対応する創造的空間への転換や、ロッカースペースの配置の工夫等による教室空間の有効活用を視野に入れるほか、バリアフリー化、特別支援学校の整備、他施設との複合化・共用化・集約化を進める。
 また、今回の要求では政府が目標に掲げる脱炭素化が重視されており、高断熱化や高効率照明・空調、太陽光発電設備、校舎の柱や内装に木材を活用することによって、公共施設である学校のZEB化を押し上げる。
 これは、国立大学・高専学校の施設においても、ZEB化の先導モデルを他大学や地域へ横展開し、施設全体の省エネの取り組みを底上げするほか、私立学校の施設・設備においても脱炭素化を促すとともに、今後さらにZEB化推進のための国費による十分な財政措置を求めていく意向だ。

ものづくりを支える基盤整備を強化
 また、Society5・0時代における地域の産業を支える職業人材育成を進めるため、専門高校においてデジタル化対応装置の環境整備を進める「スマート専門高校」を実現するための予算を計上するとともに、わが国のものづくりを支える高専の高度化・国際化を強力に推進するため、732億円+事項要求した。整備の例としては、金属造形3Dプリンター、マシニングセンタ、精密旋盤、高性能端末を配備した実習室の整備などが挙げられており、国公私立の職業教育の専門学科を設置している高等学校が対象となっている。
 さらに、私立学校の特色強化・改革の加速化に対する支援として、4388億円+事項要求。その内訳の一部となる施設・設備の整備の推進には、公立校に比べて遅れている耐震化や教育・研究装置の整備に、前年度を大幅に超える321億円を計上している。

データ利用を推進する拠点づくり
 そのほか、特別支援学校への支援として、障害のある児童生徒等が十分な教育を受けられる環境を構築する費用として約49億円を要求。全国規模で1人1台端末の活用を促進するため、民間事業者への業務委託費等を補助する「GIGAスクール運営支援センター整備事業」に64億円。教育データを利活用した研究拠点の基盤整備を行う「教育データサイエンス推進事業」に4億円を要求した。
 なお、予算額が大きい防災・減災、国土強靱化の推進となる非構造部材の耐震対策、避難所としての防災機能強化は、昨年同様に現段階で金額を明示しない「事項要求」としている。ここでは体育館も含めた空調設置やバリアフリー化、トイレ改修(洋式化・多目的トイレ)をより一層推進していく。

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