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「5分の1黒板」からの授業革命 新時代の白熱する教室のつくり方

12面記事

書評

菊池 省三・菊池道場徳島支部 著
「価値語」示し討論の土台づくり

 「子どもたちが夢中になる、あんな授業をしたい」と具体的なイメージを持つことが向上心につながる。本書は、菊池省三氏が実践してきた「白熱する教室」に憧れ、授業づくりに取り組む若い教師たちと菊池氏によってまとめられた対話・話し合い指導の指南書。
 「5分の1黒板」とは、黒板の左端に、子どもたちに育てたいこと、大事にしたいことなどを「価値語」として書き、学習の質を高めていくもの。その前提として、

 (1) 学び合い、つながり合うための学習規律
 (2) 安心感を生み出す温かい関係性
 (3) 対話に必要な態度や技術
 (4) 一人も見捨てない個や集団の価値付け

 ―が必要であり、それは日常的に「5分の1黒板」指導を行うことによって可能になるし、最適でもあるとする。
 そのためにはファシリテーターとしての教師のパフォーマンス力が問われるといい、その具体的なやりとりが提示されている。
 また、学級の成長を、安心感のある学級の土台をつくる段階、学級の中で試行錯誤する段階、学級が一つにまとまっていく段階、一人一人が自立した行動が取れる段階の四つとし、それぞれの実践記録も掲載。さらに、どの段階にどんな「価値語」を意識付けるかという「価値語辞典」や「5分の1黒板Q&A」もあり、温かくて元気な学級づくりを目指す初心者に参考になるであろう。
(2750円 中村堂)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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