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一刀両断 実践者の視点から【第157回】

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論説・コラム

大学教員の採用基準

 大学教員の採用基準を大きく改めないと、志の豊かな青年の育成は進まない。専門分野に特化した研究者は「世間知らず」であるように思える。国の基準に従うと、そうした者を採用することになる。
 論文や学位そして文章実績が必要とされる。困難事案が起きていても、目の前でトラブルが起きていてもレポートを書いているような人物でよいのだろうか。体を張らない評論家や研究を得意とする面々が能書きを文字にして、目の前の出来事に主体として関わる事よりも自己の利を求めて実績とする。臆病で傲慢な人が多いように感じられる。
 「うちの大学は偏差値の低い学生が多いし、厳しくやると来ないので」と、平然と自己の教育力を放棄する若手の教員には呆れた。「質の良い者を取りたい。そうすればもっと成果を出せる」という理屈である。
 公立の小・中学校は、さまざまな層の児童・生徒が存在している。だからこそ教師の手腕が求められるのであり、やり甲斐となる。こうした悪戦苦闘をしている本物の教師には、論文や本を出すような余裕はない。
 大学教員として現場から採用するのなら文章や論文でなく実績や実力を重視する採用基準とすべきではないだろうか。力が足りない教員でも大学に採用されると、明らかに不適と分かっても、容易には解雇できない。そのような教員の影響は学生の意欲を削ぎ落とす事になりかねない。恐ろしい事である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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