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一刀両断 実践者の視点から【第228回】

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論説・コラム

現実を題材にした授業に

 <「両腕を枝のように折った」…特養入居女性殺害容疑者「殴っているうちにエスカレート」>(読売オンライン)という見出しのニュースを今も読むことができる。
 逃亡した容疑者の身内だったらどう思うだろうか。最近の施設では職員の暴力もさる事ながら入居者から職員がされる暴言は甚だしいという。今回のケースは、採用段階での資質を見定められなかったと言う事に尽きる。
 こうした残忍な出来事が日常化して麻痺してしまう恐ろしさを感じてしまう。
 電車の人身事故もそうである。自死や殺人などの悲惨な現実は身近に起きれば意識するが、そうでないとほとんどがニュースとして過ぎ去ってしまうのである。
 こうした現実を生徒指導進路指導論の講義の中に組み込んでその本質とその予防について学生と論議してみたい。そして何らかの行動の出来る人財になるきっかけを与えてみたい。
 本来授業とは現実を題材に社会課題を解決する事の出来る人財開発にその使命があるのではないだろうか。
 先日の人身事故では二十歳の大学生がかかわった。ホームに置かれていたかわいらしいバッグの写真が私には強いメッセージとなって残っている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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