学級づくりと子ども理解 名教師、長岡文雄の教育実践に学ぶ
13面記事
長瀬 拓也 著
子どもに驚き、学ぶ教師へ
著者が「推し活」するのは、奈良女子大附属小学校の担任などとして活躍した実践家・長岡文雄である。同じ出版社から刊行する前著『長岡文雄と授業づくり』に続き、今回は「学級づくり」に焦点を当てた。
「教師の仕事で一番大切なこと」「〈この子〉をとらえなおす」「『この子』と共に学級をつくる」「学級びらきのコツは子ども理解から」「授業で子どもを育てる」「子どもたちの心に火をつけるために」の全6章で構成する。各章では長岡の著作などを引用しつつ、当時の教え子や、同僚教師などへのインタビューの成果も交え、学級や授業づくり、子ども理解、教師の心構えなどの要諦を提示していく。
例えば、子ども理解を深めるために、長岡は「近ごろ変わったこと」をテーマにした月例作文を取り入れていたことを紹介。長岡自身が語る作文の魅力、実際の作文も一部掲載して、分かりやすい。
併せて、こうした実践などから著者は「子どもに驚き、子どもに学ぶ」ことの大切さを感得するとともに、「教師の仕事の醍醐味は、子どもを探求する」ことと再確認していく。
著者の思いが長岡実践の素晴らしさを際立たせ、教え子や同僚教師の言葉から実践家・長岡が身近な存在に変わる。
師弟同行ならぬ“師弟同業”。鬼籍に入った師を追い、教師として切磋琢磨する著者の姿に、読後、そんな言葉が浮かぶ。
(2530円 黎明書房)
(矢)