学校リーダーの人材育成術
14面記事
西村 健吾 著
各界著名人の箴言も紹介
学校教育において人材育成に関わる者は何を心掛けるべきか。本書では著者が教育委員会での勤務経験や管理職経験を通じて獲得してきた60項目に及ぶ金言がズラリと並べられている。
「平時はボトムアップ、有事はトップダウン」「校長は大きなものさしでものを言う」「褒める力量に大差なし・叱る力量に大差あり」など、いずれも含蓄のある言葉ばかりだ。学校教育に携わるリーダーに求められること(特殊性)だけでなく、あらゆる業界・業種のリーダーに求められること(普遍性)も示されており、教育界だけでなく、各界の著名人の箴言も紹介されている。それぞれの箴言に対する解説は、基本的に見開き2ページでコンパクトにまとめられており、非常に読みやすい。60の項目はバラバラではなく、相互に有機的に連関しているが、解説は項目ごとに完結しているので、どこから読んでも構わない。ふと目に留まったページを読むだけでも多くの示唆を得ることができるため、日々の業務に忙殺されている読者でも手に取りやすい構成となっている。
タイトルに「学校リーダー」とあるが、ターゲットは校長に限らない。副校長・教頭、教務主任、学年主任など、広く人材育成を担う読者にも豊かな気付きをもたらすだろう。
人材の育成で思い悩んだとき、本書を開いて箴言に出合い、じっくりと味わうことで、ヒントや指針が得られるはずだ。
(2200円 明治図書出版)
(井藤 元・東京理科大学教授)