子どもの思いとかかわり方がわかる 先生のための不登校対応サポートブック
14面記事
原田 直樹 著
専門家間でつなぐ大切さ訴え
不登校の子どもの数は、急激に増加している。半面、その対応に関わる教員は、教員不足も相まって多忙を極めている。
著者は、福岡県立大学「不登校・ひきこもりサポートセンター」のソーシャルワーカーを経て、准教授として不登校の研究や養護教諭の養成に携わっている。その経験から、教員が多忙の中でも教育の専門家たるその機能を十分に果たすためには、教員が支援の中心を担うということではなく「必要となる支援のうち自分の専門外の部分についてはその部分の専門家に確実につないでいくこと」が大切であると提案している。
特に、第3章「エピソードから考える『先生』の役割」では、挙げられた事例ごとにその背景や捉え方などが解説され、その上で教員がその専門性を生かしてできることが提案されている。例えば、不登校で昼夜逆転しているという生徒の事例では、不登校には特有の波があるということ、なぜ夜に起きているのかということの解説があり、その上で教員だからこそできることが具体的に示されている。家族の世話や家事で学校の欠席が続く生徒の事例では、ヤングケアラーと不登校の親和性についての解説があり、それを踏まえ教員だからできることが挙げられている。
まさに本書は、不登校対応の悩みの解消に大いに役立つ一冊であるといえるであろう。
(2200円 中央法規出版)
(小山 勉・東京未来大学特任教授)