グングン授業がよくなる 授業づくり85のポイント
14面記事
月岡 正明 著
経験に基づく指導の工夫満載
「今の時代に、こういう書籍を待っていた」読み終えた後の率直な気持ちである。学力向上は、学校の最大のミッションである。そのために、子どもたちが「分かる授業」「楽しいと感じられる授業」などを、創っていくことが教師の役割であることは、誰しもが実感している。
しかし、指導技術や指導法について、じっくりと学び合ったり、ベテランから若手教員に伝えたりする機会が確実に減ってきていることを現場にいて痛感する。一方で、学校には新規採用教員を含めて若い教員の割合が高く、授業力をどのように向上させていくかが、どの学校でも重要な課題となっている。そういう中、本書は担任として、管理職として、さらには大学教員として学び、実践し、反すうしてきた著者の、教育理念や指導技術、授業創りの際の工夫や方法のアイデアがぎっしり詰まり、どれも具体性の伴った、平易な文章でコンパクトに分かりやすく表現されている。
読みながらワクワクさせられ、明日からとはいわず、今すぐにでも実践したい、「なるほどそうすればいいのか」、と授業創りへの意欲を刺激される。全10章の構成で、その全てに「なぜ」の問いが明かされ、だから「筆者はこうしてきた、こうしてみてはどうだろう」と説得力・納得力がある展開となっている。「授業創りのバイブル」といって過言ではない一冊である。
(2420円 一莖書房)
(中川 修一・前東京都板橋区教育委員会教育長)